きみの街まで

大人のフリから本当の大人になりたい

今年の林くんは桜には攫われなかった。


滝沢歌舞伎2017の幕が下りてから7ヶ月も経ったらしい。1年前の千秋楽から待って待って待ち焦がれた春は、来るのはあんなにゆっくりだったのにいざ来てしまったら去るのはほんとうにあっという間で。


1月のキャスト発表で見つけた"林翔太"の名前。嬉しいのと同時に、今年の出演者の少なさに驚きを隠せなかった。林くんはこの中で、どんな役割を与えられるんだろう。期待と不安が入り混じっていたけど、正直期待7割、不安3割くらいだった気がする。9年目になる林くんに妙な自信があった、何故か私が(笑)
そして、その自信はやっぱり間違っていなかったと思う。林翔太くんは、最高の舞台人だった。

タイトルに「は?」って思った方も多いと思うのだけれど、これはかの有名(?)な三宅健センパイのバックに佐久間くんと共についた時に感じたこと。去年の林くんは、柔らかくて繊細でしなやかで、どこか桜に攫われてしまいそうな儚さがちらちらと垣間見得ていた。
でも、今年の林くんは違った。得意の音ハメを存分に発揮した、キレのあるダンス。去年よりも止めが強くなった印象だった。林くんの体つきが、去年よりもしっかりしたのもあるのかもしれない。でも、それだけでは決してなくて、林くんの中で解釈が変わったのか、そもそも踊り方を変えたのか、去年と振り付けは同じはずなのに、なんだか"人間味"をすごく強く感じた。今年の林くんは、色気がある。去年がなかったわけじゃなくて、色気が増してると言った方がいいかな。

そういうわけで、今年の林くんは桜には攫われなかった。どちらかというと桜を眺める人間の方。そして今年は、逆に佐久間くんがすごく柔らかくて繊細な踊り方をしていた気がする。ふわっと伏し目で微笑んだり、去年のTHE 佐久間大介な振りから大分変化があったなあ、とたまに視界に入る程度のわたしが見ても感じたから、佐久間担の方はもっともっと顕著に感じていたのではないかな。何事も変化の多いのが春ですねえ。(?)

そして、私にはもう1つ、ロスが止まらない曲がある。それは「蒼き日々」。

今でもイントロを思い出すだけでぶわあっと高揚感が蘇るし、滝沢くんと三宅くんが色違いの羽をつけた帽子を被ってユニゾンしているところが脳内を過ぎる。自担の林くんはいないのに、何故か心を鷲掴みにされて離してくれなかったこの曲。

一筋の光射すあの場所も
見たこともないような景色も
いつか手に掴むために

咲き誇れ 薔薇のように鮮やかに
命の鼓動 輝かせた
二度と忘れない 蒼き日々

ここの歌詞が特に好きで。1つ目は、ケンタッキーとSnowManと女ダンさんが全員1列になって、一筋の"光"で左右にぶわっと体ごと千手観音の手のように飛び出してくるの、すごく綺麗だった。大サビに向かう抑揚も、テンションがぐんぐん上がる感じで。

2つ目は、"咲き誇れ 薔薇のように鮮やかに"で、阿部さんが薔薇の花を手をくるんと回して作っているのがすごく印象的で。その表現の仕方、イイなあ、と思っていつもこのパートは彼を見ていた。そして最後の"蒼き日々"でも、目の近くに持ってくる手のポージングがすごく綺麗だったの。誰か分かってくれるといいなあ。

全体的に私はこの曲は阿部さんを見ていた気がする。サビ最初の"咲き誇れ"の煽るような顔もすごく好きだったの。ただ、ソロダンスのいつかもどき(とわたしは呼んでいる)の佐久間くんも儚げで周りに散って行く桜の花びらが見えたし、二つ折りケータイ?ってくらいまっすぐ俊敏で美しいハイキックをしていた宮舘さんにも釘付けになった。

「蒼き日々」は、SnowManの魅力をいつもよりさらに爆上げしてくれる魔法の歌だったような気がする。歌っているのはケンタッキーなんだけど、あの場所、あの空間にしか存在しないSnowManが確かにいた、と、わたしは思う。あくまで他担がつらつらと考えたことだけれど。だって他担のわたしがこんなにロスってるくらいなんだもん!!(笑)林くんも出て欲しい!って何度も思ったけど、でもそれは違うな、とも思った。林くんはアクロバットは得意ではないし(この時点で最初にくるくる回りながら出てくるあのシーンに参加できない)、あの6人+ケンタッキー+女ダンさんだからこそ生まれる空気感があったから。
だからこそ、あの場だけでお披露目して、千秋楽でお蔵入りなんてすごく勿体無いなあ。どこかでまた披露してくれないかなあ、なんて言っているうちに半年過ぎたね。(死)

そして、林担として触れなくてはならない、いや絶対に触れたい演目の、お化け。
今年は滝沢くん主演の映画『こどもつかい』をアレンジ(というかあらすじをストーリー化)した作品だった。
去年の一人三役とは違って、今年は基本はナレーションベース。時折「親」や「こどもつかい」に扮し、最後にはナレーションの男がこどもに狙われる…といったストーリーだ。まず思ったこと、林くんの舞台発声は、今年もやっぱりピカイチだった。冷静に、淡々と語るところ、感情が高ぶって激昂するところ、恐怖に慄く絶叫、不安げな嘆き声。全てを巧みに操っていた。いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜かっこいいなあわたしの自担!!?!?!!?!!(唐突に私情が出た)

中でも、いや林くん、すごいな…と思ったのは、「親」がこどもにつらくあたった直後の絶叫。ただの「ギャーーーーー!」という文字では表すことのできないくらい、人が呼吸を乱して喉から声が突き出ているような、リアルな絶叫。表情も、瞳孔は開いて口が歪み、手も体もがたがた震えている。今思い出してもぞくっとこちらが身震いをしてしまうような姿だった。こんなの、生半可な気持ちで出来る事じゃない。だってこれ、一回だけならまだしも53回やってるんすよ…

それでも彼は一度も声を枯らさなかった。

歴が出るというか、プロ意識に脱帽というか……喉の調子が悪いこともあったみたいだけど、それでも最後まで声を枯らさずに演じ切ったはやしくんにはたらふくネギラーメン食べさせてあげたい。一年分贈呈したい。


他にもいにしえの赤布飛ばしの林くん、きゅるきゅる可愛いお顔で滝沢くんや三宅くんへの愛を語る滝沢一座の林くん、見得を切る林くん、「するってェとォ」が口癖の江戸ッ子岡っ引きの小次郎ちゃん、LOVEで最初は阿部さんに超塩対応だったのに千秋楽に近くにつれて一緒にハートを作ってくれて喜ぶ阿部さんと一緒によっしゃー♡と喜ぶ林くん、などなどかっこよくて可愛い林くんはまだまだいるのだけれども、ここらでだんだん自分の欲望やら猫っかわいがりが露呈してきたのでそろそろおしまいにする。滝沢歌舞伎2017は、絶対に消えないわたしの大切な大切な春の思い出として心に置いておくとして、来たる滝沢歌舞伎2018に向けて。

来年ははやしくんが記念すべき初出演から10年目の年になる。すごい、すごすぎる。だからこそ来年は絶対に、絶対に口上を演目に戻してほしい。

「10年連続の出演、林 翔太!!」

この台詞をはやしくんの口から聞けることを願って。


春おばけのみんな、あと3ヶ月。あと3ヶ月だよ。寒く凍える冬の次は、桜が花開く春が来るよ。


「春の踊りは、よおいやさあ!!」